嫌いな男 嫌いな女
「舌打ち! 今舌打ちしたでしょ! しんっじらんない! 人が寝てる間になにしてんの最低! ほんっと最低!」
「寝るお前が悪いんだろ。俺の部屋だし」
「あんただって私の部屋で寝るでしょう!」
「じゃあそんとき俺犯していいよ」
「するか!」
完全なる拒否。
あーもう、俺のやる気も萎えてきた。
はあっとため息をついてから美咲を見れば、ぷるぷると怒りで震えている。
なんでそこまで怒られなきゃいけねえんだよ。いいじゃん別に。
「なんでダメなの」
「なんででも」
「わかんねーよ。俺はやりたいんだけど」
「……っ! そんな、こと言われても! こっちにも準備ってもんが!」
「なにそれ。じゃあいつならいいわけ? 今からしましょーって? 言えばいいわけ? じゃあしようぜ」
「なにその言い方!」
あーもううるせえなあー。じゃあどうすりゃいいんだよ。
美咲は無言で俺を睨みつけるだけ。こりゃなに言っても無理だなあ……っていうかマジでわかんねーんだけど。そこまで嫌なもんなの?
「よし、じゃあ考えよう」
「……えらっそーに。人の寝込み襲っておいて……」
「まあまあ」
俺が口を開く度に美咲の怒りがひどくなってる気がする。
「お前は、俺とやりたくねえの?」
「……そんな、わけじゃ、ないけど」
「じゃあなんでダメなの? 俺は、やりてーんだけど」
「っそんな、こと、急に言われても……! それに、こんなところで」
「どこでもいいじゃん」
「どこでもいいわけないでしょ! 巽の家だっつの! おばさんも渚ちゃんもいるし、隣は私の家なんだけど!」
あーまた怒った。
こいつ血圧高いんじゃねえの?