嫌いな男 嫌いな女

「俺は、お前とやりたい」

「そういうこと、を……真顔でいわないでよ」

「別におかしなことじゃねえだろ」


美咲はまだ服をぎゅうっと掴んだまま。
ブラが取れてるから、手を離せないんだろうな。


「もうすぐ俺は東京に行く、お前はこっちに残る。その前に、お前とやりたい」

「…………だから、って、こんなところで、いきなり……」


じゃあどこならいーっつーんだよ。
顔を真赤にして、必死に抵抗を続ける姿に、萎えた気持ちがまた膨れてくるんですけど。

こいつは本当にわかっていなさすぎる。
かわいくねえけど可愛く見えるときがあることをわかってねえ。

口にしたらさすがにまた怒るだろうから言わないけど。


「よし、ラブホ行くか」

「マジで死んで」


口が悪いよなあほんっと。


「なんでだよ、ここじゃ嫌だったらラブホしかねえだろ。それともなにか、外か?」

「んなわけないでしょ! なんなのあんたさっきから! 盛り過ぎてんのよ! 変態! マジで変態!」

「普通だろうが! お前こそなんなの、なに大事に守ってんだよ、俺のこと好きだったらいいだろ。結婚まで大事に守るつもりかよ、付き合ってらんねーよ」

「ふざけたこと言ってんじゃないわよ! なんなのそれしか頭にないの!? やりたいだけなの!?」

「そんなわけねーだろ」

「だったらもうちょっと私への配慮ってもんがないの!?」


これでも配慮してるつもりなんだけど。
寝てるところ襲ったのはまあ、悪いかもしれないけど。


むすーっとしていると、美咲も負けじとむすーっとする。


「やらないと……離れたらダメなの?」


だから、そういうかわいいことを言ってんじゃねえ。
がっくりと項垂れると、美咲はじわじわと泣きそうな顔になっていく。
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