嫌いな男 嫌いな女
ああもう最悪だ。同じ階も問題だが、おそらく5組と6組は体育で合同クラスになるだろう。
どちらかのクラスが男子の更衣室になり、どちらかのクラスが女子になる。
けれどウワサによれば、偶数組が女子の更衣室になるらしい。
つまり私は巽の教室に移動して、巽は私の教室に。
顔を合わせずに済めばいいけどそんな確率絶対低い。
「まあまあ、元気だしなって。今に始まったことじゃないし」
そう言われたらそのとおりなんだ。
いつまでもこのままじゃダメだよなあって自分でも思う。
無視すればいいんだ。なんかわかんないけど、巽だけはすごいイライラしちゃってすぐケンカ。
中学生になったんだから! 少しはオトナになったんだから!
「見ろ! あの顔を!!! 悠斗!(ゆうと)大丈夫か!?」
よし! と気合を入れたところで、なぜやってくるのか。
巽は知らない男の子を引き連れて、叫びながら私の教室にやってきた。っていうか、さっき前に座ってた男の子だ。
なんで? なんで巽と一緒にいるの? しかもなに言ってんの!なにをしているんだ。そもそもなんでここにいる!? 帰れ!チビ!
せっかく忘れて中学生活を楽しもうと思ったのに!
「おい! 美咲! お前来い!!!」
「は!?」
聞こえた!?
突然私の名前を読んだ巽に、思わず由美子と顔を見合わせた。
手招きして私を呼ぶ巽。
巽が私の名前を呼ぶなんて。なんなんだ。っていうか私のこと今まで名前で呼ぶなんてめったに無いのに。ケンカしてるときはたまにあるけど。