嫌いな男 嫌いな女


「うっせーよ! ドブス! お前に関係ねえだろ」


む、むかつく……!
関係ないわけないでしょう!? 人の悪口叫びまくっておいて!


「どこが?」


言葉を返そうと思った瞬間、名前の知らない男の子の言葉に、思わず動きが止まってしまった。


「……え?」


思わず巽と同じタイミングで同じ台詞を口にしてしまった。


「え? え? あの?」


私の前に顔をずいっと近づけて、まじまじと見つめてくる。
な、なんですか。
っていうかこうしてみるとこの子本当にかっこいいな……。優しそうな雰囲気出し、そういえば背も高い。

だからこそ余計に戸惑ってしまうと、男の子はにっこりと、かわいい笑顔を私に見せてくれた。

その瞬間、胸がバクンと大きく跳ねる。
……な、なにこれ!


「うん、やっぱかわいい」

「え?」

「美咲ちゃん目、大きいよねー」


え? え? なに?
ありがとうございますって、返せばいいのかな。
でも、こんなこと言われたこと無いからどうしていいのかわかんないんだけど。


「はあ!? どこが!? 悠斗お前ほんとにおかしいんじゃねーの!? 信じらんね! ほんとに信じらんねえ!」

「うっさいなーほんとに! どっかいってよほんとに! 目障り!」

「俺の台詞だバーカ!」


そう言って巽は背を向けた。
勝手に人の教室にやってきて、怒りだして暴言はいて帰っていく。本当に同しようもないバカ。

意味分かんない。
はあっとため息を落として席に戻ろうとすると、そばにいた男の子。悠斗くん、だっけ。その子が私を見てまた笑いかけてきた。


「またね」


そして巽の後ろを歩いて行く。
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