嫌いな男 嫌いな女

「明宏くんと、付き合うことになったんだ」

「……っえ!? へ!? え!?」


思いもよらない名前と、付き合ったという言葉に、目がこれでもかってくらいに見開いてしまう。

明宏くんって、あの、明宏くん!? 巽といっつも一緒にいるあの男子だよね!? え! なんで! どういうこと?


「い、いつのまに!?」


ふたりが一緒にいるところとかもよく知らないんだけど……。接点なんてあったっけ!?


「いやーまあ、1年のときから、まあ近い関係だったんだけど」

「どういうことー! 知らなかったー!」

「あ、ほら次移動教室だよ」


騒ぎ出す私を華麗にスルーして、由美子がそそくさと教室から出ていこうとする。
えー! こんなの次の授業ずっと気になっちゃうじゃない……!


「っていうか、待って! 待って待って!」


話を聞きたい!
そして授業も行かなくちゃ、と慌てて用意をして教室を飛び出ると、ドン、とだれかにぶつかった。


「……わっ!」

「なにやってんだ、お前」


聞き覚えのある嫌な声が聞こえてくる。鼻を抑えながら顔を上げると、呆れた表情で私を見下ろす巽。

……っていうか。
なんだかおかしい。なにかがおかしい。

じいっと巽の顔を見つめていると、どんどん嫌そうな顔をされた。


「あんだよ」


日本語をしゃべれこのやろう。……じゃなくて!


「なにその身長!?」


並ぶのは久しぶり。正直最近では声を聞くのも久しぶり。
久々にこうして近くで並んで、初めて気がついたんだけど……背が、でかくなってない!?
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