嫌いな男 嫌いな女
「えーっと……」
どちらさまでしょうか。
なんて聞くのは失礼かな。
巽よりも背が高い男の子だ。明宏くんよりも少し低い、かな。
見たことがないから、隣のクラスの子でもないだろう。
身長は高いけれど、身体は細い。巽よりも細い感じがある。でも、ちょっと大人っぽく見えるのは……落ち着いた雰囲気だからかな。年上みたいに思えるけれど、そんなはずはないか。
「神谷、神谷大輔っていいます」
「あ、はい」
なんの用事なのかと思っていると、「ここではちょっと」と靴箱の方まで連れて行かれた。
……これって、もしかして?
いやまさか、そんなことがあるはずない。
でもなんの用事だろう。
「好きなんだ」
ドキドキしながら彼の言葉を待っていると、単刀直入にそう言われて、期待していたのに驚きで言葉がでなくなる。
「え。え、え!?」
「バレー部のランニングでずっと、見かけてて……」
そんなところを見られていたなんて。
どこから見られていたんだろう。大体ランニング中なんて必死な顔していると思うのに。
初めてのことにどうしていいのかわからなくてオロオロするしかできない。
告白されるってこんなかんじなんだ!
「えっと……」
これどう返事をしたらいいんだろう。
相手をよく知らないから、付き合いましょう! なんて言えるはずもない。
だけど、断ってもいいものなんだろうか。好きですとしか言われてないんだけど……。