嫌いな男 嫌いな女
「やっぱり卒業近づいてきてるから?」
「だろうなあー。でもさっきの、神谷だろ? あいつ手早いらしいぞ。サッカー部のやつなんだけど。この前後輩と付き合ってたとか」
「え? そうなの!?」
……なんだそうなのか。
いや、でもこの歳になればふたりや3人付き合ったことがある子も多いし、気にする程でもない、かもしれないけど。
うーん、どうなのかなー。
この前までっていつまで? いつ私のことを好きになったんだろう。
付き合ってないけど、やっぱり……気になるなあ。
手が早いってどういうことなのかもわかんないし……。
「最近巽も告白ばっかりされてるぜ」
「……へえ」
あ、そう。だからなに? 巽のことなんて今どうでもいいんだけど。
そんな気持ちが顔に現れていたのかもしれない。明宏くんはちょっと後ずさりして目を泳がせた。
「もてるんだねー巽くん」
由美子が私を見て同意を求めるように「ね」と言ってきたけれど、「ふしぎだね」とだけ返した。
ほんっと、なんでだろうね。
あんな精神年齢が低くて口が悪くて性格悪いのに。なにもいいところなんてないのにね。
世の中物好きっているもんだ。