嫌いな男 嫌いな女



「誕生日おめでとう!」

「っわ!」


誕生日当日、教室に入るといきなり由美子と明宏くんが私に向けてクラッカーを鳴らした。

予想以上のお祝いに、心臓が飛び出るかと思った。
サプライズっていうかもうドッキリレベルなんだけど!


「なに、急に! びっくりしたあ!」

「はい、これ」


驚く私に満足した顔をして、由美子が私に小さな箱を手渡してくる。
ピンクのラッピングに真っ赤のリボン。

開けていいかと聞くと、もちろんと言ってくれたから、遠慮なくリボンを解いて紙をはがしていく。

現れたのはシンプルだけれどかわいいアクセサリーケースだ。
蓋が透明になっているけれど、周りは木のようなプラスチックで、まるで彫られたみたいに柄が入っている。何種類ものピンクに、木目がすごくかわいい。


「かわいい!!」


わたしの趣味、ぴったりだ! さすが親友!!
残念ながら、それに入れるアクセサリーはないけども。

かわいいピンクの入れ物は、ピアスも飾れる穴があり、2つほどのアクセサリーが入れられる。

由美子じゃないと私の誕生日プレゼントにこんなかわいいのを選んでくれないだろう。


「美咲ちゃん、今日誕生日なんだ」

「わ!」

「あ、ごめん驚かしちゃった?」


背後から大輔くんがひょこっと顔を出してきて、また心臓が口から出るかと思った。


「おめでとう」

「あ、ありがとう……」


にこっと微笑まれて、釣られて私も笑ってみせた。
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