嫌いな男 嫌いな女
・
結局、放課後まで悩んでいたけれど、約束してしまった手前今更断ることも出来ないで一緒に帰ることになった。
……一緒に帰ることはあったけど、こうして街をふらふらするのって初めてだ。
これってデートになるのかなあ。
誕生日プレゼントを買うよ、と言ってくれているんだけど、もらうのも悪い気がしてしまう。
お気に入りの雑貨屋に入ったものの、どうしていいのか。
やっぱり……こんなのだめだよねえ。男友達にプレゼントをもらうっていうのも普通ないし、ましては私を好きだって言ってくれている子。
その気がないのに、買ってもらうことなんてできるはずない。
ふらふらと小さな店内を歩きながら、どう断ろうか考えていると、かわいいネックレスを見つけた。
これを今日由美子にもらったアクセサリー入れに入れたらかわいいだろうなあ……。
手にすると、ずしりとちょうどいい重さがあるからか、安っぽさもない。
値段を確認すると、中学生には高級すぎる値段だ。
「これ、かわいいでしょ?」
「あ、はい」
店員さんのキレイなお姉さんが声をかけてきて、慌てて棚に戻す。
「1点ものなの。ちょっと高いけどね」
「……さすがに、ちょっと高いかな……」
ちょっとどころじゃないんだけど。
「へえーかわいいね、凝ってるし。でも美咲ちゃんのイメージじゃないかも。こっちのほうが似合いそう」
隣で話を効いていた大輔くんが、ネックレスを少し見てから、隣にあったイヤリングを手にした。ブルーのシンプルなものだ。
確かにこっちもかわいいけど……なんだか気に入ったものを否定された気がして気分が沈む。
こんなこと初めてじゃないけどさ。
似合わないこともわかってるけど。
ああ、やっぱり無理だなあ。付き合うなんてやっぱりない。このまま友達でいたって、これ以上の関係になるのは考えられないや。