また桜が咲いたら
結局、私はこの部屋に戻ってきてしまった。

朝、家を出てどこに行くか考えていた。

行く場所なんてない。でも、行く場所はいくらでもある。

結局は私次第なんだ。何処に行っても、私次第でその場所が私の居場所になり、居場所ではなくなる。

自分で選ぶしかない。

私は、昨日初めて会ったあの人に恋をしているのかもしれない。

あの人は何もせずに、ただ抱き締めてくれた。

そんな人…今まで居なかった。

あの人は私のこと、軽い女って思っているだろう。

あの人の恋愛対象に私は入らないだろう。

私は【援助交際】するような女だもん。

あの人の傍にいても辛くなるだけかな…

公園のベンチに座ってそんなことを考えていた。

3月の空は澄みきっていて、太陽はこんな汚れた私を容赦なく突き刺す。

「おねぇちゃんあそぼう」

気付くと足元にスコップを持った小さな女の子が居る。

「しーちゃん!ダメよ!お姉ちゃんが困るでしょ」

母親らしき女性が駆け寄ってくる。

「ごめんなさいねぇ。この子ったら…」

「…いえ、いいですよ!…しーちゃん?お姉ちゃんと遊ぼっか」

「うん!しーちゃん、あそこであそぶ」
少女は砂場を指差す。
< 29 / 38 >

この作品をシェア

pagetop