また桜が咲いたら
「飴?…なんだよこれ」

桜香の脳裏に昼間の少女がよぎる。

「気にしないで。よろしくね、【しーちゃん】」

「…!?しーちゃんって!」

「俊だからしーちゃんでいいでしょっ!」

「そんな呼ばれ方したことねーよ」

「…じゃあ、私が初めてしーちゃんって呼ぶんだ」

「まぁ…そーなるな」
桜香は何か嬉しそうにしている。

「お喋りばっかしてたらご飯冷めちゃうよ!しーちゃん!!」

「…」
そんな呼ばれ方をするとなんか気恥ずかしい。

「しーちゃんって呼ばれるの嫌?」

寂しそうな顔の桜香。その表情は涼香を思い出させる。

「…まぁ…好きなようにしていいよ」

するとまた上機嫌になる桜香。

「じゃあそーするっ」


「おい」

「はい?」

「ルームメイトになるのはいいけどな…」

「ん?いいけど?…なに?」

「俺はお前の事、名前以外知らない」

「私も名前以外知りませんが」

「…だな、確かに」

「「……」」
沈黙

「…17歳。高…校3年生」

「「……」」

「23歳。会社員…」

「1人っ子…じゃなくて歳の離れた妹が1人居ます」

「1人っ子で両親は同じ街に住んでる」

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