また桜が咲いたら
「同じ街に住んでるのに一人暮らししてるんだ!?」

「…あぁ。社会人だからな」

「社会人だったら一人暮らししなきゃいけないの?」

「…そういう訳じゃないけど」

「親の事、嫌いなの?」

「…そういう訳じゃないよ」

違う
嫌いなんかじゃない

ただ、気を遣わせたくないだけだ

「まぁいっか。しーちゃんが一人暮らししてるからルームメイトになれるわけだし」

「…」
聞くのを少し躊躇する

「お前…家出してきたんだよな?」

「…」
うんって言ったら…
この人は私のこと突き放しそうな気がする
でも、こんなこと嘘ついたってしょうがない

「…うん」


なぜ家出したのだろう
あんなことしてまで、家に帰りたくない理由とはなんだろう
聞いていいのだろうか





「そっか。」

「家出娘とか…やっぱり迷惑でしょ?」

「…いや初めから家出だろうなって思ってたし」

「…でもさ、実際、私の口からハッキリ家出って聞いたらさ…やっぱり迷惑じゃない?」

「…別に」


絶対迷惑だって思ってる
迷惑…かけたくないな
「あのね、やっぱりさ、私、家出とかバカなことやめて…家帰ろうかな?」
ヤバい…泣きそうだ
胸が苦しい
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