わがままモデル王子は甘い香り
『桜嗣さんは今回の撮影には協力的だとか?
差し入れとかしていらっしゃんですってね』

なんつう質問だよ!

苦し紛れな質問ならするなっつうの

俺は監督からマイクが回ってくると微笑んだ

「まだクランクインはしてませんけどね
打ち合わせとか、顔を出させてもらってます
映画の現場って知らない世界ですからね
楽しいですよ
俺の恋愛が表に出るのは恥ずかしいですけど、一つの作品として世に出たら見させていただきます」

俺が映画に出るわけじゃねーし
俺の過去だとは思わずに見れば、見られるかも?

…無理かもしれないけどさ

『主役の桜嗣役には何も求めてますか?』

「え? 求めないといけないんですか?」

俺が笑顔で記者に質問返しをする

『こう演じてほしいとか、ありませんか?』

「あー、とくにないですよ
脚本が素晴らしい出来になってますし、もう自由に演じてくださいって感じです」

俺は笑う

…って笑うしかないだろ

『じゃ…主役の……』

質問がまた俳優陣に向いた

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