わがままモデル王子は甘い香り
家に帰ると、紫音がにこにこ笑って玄関に立っていた

「紫音が見えるんだけど……俺はとうとう目までイカれたか?」

俺が呟くと、廊下から莉緒の笑い声が聞こえてきた

「竜聖のサインを待ってたんだけど…?」

紫音が不機嫌な声をあげた

「莉緒ちゃんに頼まれたのを忘れたんだって?」

「うるさいなぁ
仕事だったんだよ」

「サインは?」

「いらねーだろ
サインが欲しいなら、俺が俺のサインをしてやる!」

「桜嗣のはいらない」

紫音にあっさり俺は振られた

「竜聖の…いらない」

のそっと出てきた彰吾が不機嫌に口を開いた

「だよな!
いらねーよな
竜聖のサインなんかいらねーよ」

俺は彰吾と肩を組んだ

…てか、背が高すぎなんだよ
俺が背伸びしてるなんて格好悪いっつーの

「嫉妬深い男ってださーい」

紫音が眉間にしわを寄せて言った

「あー、むさくるしい
こんなんじゃ、莉緒ちゃんの怪我がなおらない」

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