わがままモデル王子は甘い香り
「もう復帰すんの?」

「うん、それでブランドをネット注文してくれた先着500名さまに桜嗣のサインをプレゼントすることに決まったの」

「姉貴が決めたのか?」

「うん」

「あっそ」

俺はテーブルに色紙の束を置くと、サインを書き始めた

「仕事なら仕方ねえな」

「竜聖ってどんな子だった?」

紫音が聞いてきた

「あ? 餓鬼だった」

「またまた…クールな2枚目だったんでしょ?」

「だから餓鬼だった」

俺の返事に、紫音が不満そうに鼻を鳴らした

「んじゃ、色紙をもらったから帰ろうっと」

ゴミ箱に入っている色紙を手に取ると、紫音は玄関へ歩き出した

「それは…ゴミだ」

彰吾がぼそっと言うが、紫音のうしろをついて行った

「見送ってくるね」

莉緒も玄関へと向かった

「…んだよ
サイン待ちだったのかよ」

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