わがままモデル王子は甘い香り
彼女の声が携帯から漏れて、聞こえた

『聞こえてるなら桜嗣に伝えてください
私の過去をマスコミにバラすと言われたので
処理をしてきます、と』

彼女の怒っている声が耳に入る

仕事のことなんてすぐに忘れた
もともと最後にしようと思っていた仕事だったし
打ち合わせくらいさぼっても何の支障もないと思った

ショーの本番にきちんと間に合えば…
あれこれ考えるより、俺の身体は勝手に動いていた

彼女を守りたい
この手で彼女を、義理兄から解放してあげたい

いや、俺が解放しなくちゃいけないんだって

姉貴にすぐ連絡した
そして警察に動いてもらうように伝えた
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