わがままモデル王子は甘い香り
予想は的中
義理兄の目はイッていた
母親と同じように常軌を逸していた

ああ、もうコイツに何を言っても無駄だと感じた

モノにならなかった彼女に執着しているだけ
愛情なんかあいつにはない

彼女と姉貴が無事でいるのを願った

俺が長年監禁されていた部屋に二人がいた

姉貴は随分弱っていた
彼女もやつれている

俺は己に怒りを感じた

仕事をきちんと断っていれば良かった
これが最後に…なんて思わず、きっぱりと断っていれば、俺は日本にいた

もっと早く二人を助けられたのに

いや…義理兄にこんなことをさせなかった

悔しかった
苦しかった

そして己を憎んだ

彼女を病院に連れて、彼女の安否がわかるまで絶対に日本にいようと決めた

仕事をドタキャンすることになっても構わない
彼女がつらい思いをしているのを知っていて、仕事を優先したいとは思えなかった

残念なことに臨時でマネの仕事についた男は、俺の考えを理解してくれなかった

彼女を病院に連れていっていたら、ショーの開始時間に間に合わなくなる

だから別荘に一人、残していけと俺の囁いた

別荘にはまだあいつがいるのに
あいつがまだいる別荘に弱っている彼女を置いて行けと?

ふざけるなって殴りたい気持ちになった
だが、ここで問題をおこしても意味がない

反対意見のマネに俺は病院に行くように伝えた
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