わがままモデル王子は甘い香り

2年後の再会

苦して厳しい2年間だったよ
俺が考えているモデル業界とは全然違った

…ていうか俺の考えが甘かった
契約社員とは違う
契約をしていたって蹴落とされるんだからな

俺の意思とは関係なしに給料だってカットされる場合がある

生半可な気持ちじゃ、やっていけない世界だったよ

彼女と別れて、もっとモデルとして大きくなろうと思ってなかったら、俺はきっと投げ出してたな

さっさと日本に戻って、気楽にできる仕事を探してた

昔ように好きなときに、抱ける女と夜を過ごしていた時代に戻っていたかもしれない

2年間のフランス生活は、ショー出演の獲得に翻弄していた

きっと自叙伝を読んでいる人は、フランスでの恋話の一つや二つを期待していると思うけど

恋愛をしている余裕なんてなかった

ブログの更新だけで精いっぱいだったよ

己を高めるのに必死で、スポーツジムに通ったり、パーティに参加して人付き合いの幅を広げて、自分を売り込んでいく

セックスで獲得するんじゃない
俺の魅力だけで勝負する
そう決めていたから、ずっと輝けるように精神コントロールも大変だ

心身ともにメンテナンスが必要なんだと知ったな

そりゃ、さびしい夜もあった
悪夢にうなされて、眠れなくなった夜もあった

だからって逃げる自分はもう嫌だったから
己自身と戦う2年間だったよ
< 25 / 114 >

この作品をシェア

pagetop