わがままモデル王子は甘い香り
「いつから知ってたんだ?」

「う~ん、1か月前には知ってたよ」

「何で言ってくれないんだよ」

「だって桜嗣、仕事が忙しそうだったから
落ち着くまでは…って思って」

「なんだよ」

俺はその場にうずくまった

莉緒は水道の水を止めると、タオルで手を拭いて俺の前にしゃがみこんだ

「吐き気はね、それほど強くないの
それより眠気がひどくて
桜嗣が仕事してる間、ずっとベッドでごろごろしてるの」

俺と目が合った莉緒がニッと口を緩めた

「ほんとに吐き気は平気なのか?」

「つわりって人それぞれなのよ
吐き気が酷い人もいれば、眠気が酷い人
あとは食べてないとつらいっていう人も…
私は吐き気よりも眠気が強いの」

「そうか」

女性の身体はいまいちよくわからねえから

莉緒がどんな状態なのかも俺はわからねえんだ
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