わがままモデル王子は甘い香り
「春ちゃん?
どうしたの?」

俺の後ろで莉緒が驚いた声をあげた

「うん、買い物
プリンターのインクが無くなっちゃってさ~
インクがないと仕事にならなくて」

「そうなんだ」

「そうなんだよ
気楽なOL業を望んでたのに、すっかり営業に送られちゃって
毎日資料作って、あちこちに売り込まないとでさ~
あれ? 莉緒は何を買いに来たの?」

「え…あ、うん
食洗機を…」

「え? 一人暮らし中?
まじで? 今度、遊びに行ってもいい?」

「あ、えっと一人じゃなくて」

莉緒は俺の背中を見たのだろう
言葉が途切れた

「え? え? もしかして彼氏?
莉緒、彼氏、いんの?
紹介してよぉ」

莉緒の友人と思われる女の声が小さくなった

今さら小声にする必要ねえだろ?

知ってて話かけたくせに

面倒くせえ女だ
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