わがままモデル王子は甘い香り
「おい……」

「携帯のアドレスを交換してて、コンパの話をするうちに……つい」

はい?
『つい』って何だよ


…てか
俺に話させろっての

「り……」

「本当に莉緒には申し訳ないと思ったの
莉緒の夫だし…でも桜嗣って上手だから」

『上手』って何がだよ!
俺はあんたのアドレスも知らねえし
電気屋以来、会ってねえだろうが

だから俺の話を聞けっつうの!

「桜嗣なんて大嫌い!」

莉緒が俺を睨むと、店を出て行った

「おい! 莉緒、走るなよ
転んだら……」

くそっ

何なんだよ
この女は!

「えぇ? もしかして春って不倫してたの?……なあんてね」

春の近くにいた女が、春と目を合わせて笑い合った


『なあんてね』?
計画的な犯行かよ

春とこの女が莉緒をはめた?


「どういうつもりだよ」

「ええ? だって桜嗣と私ってそういう関係でしょ?」

「どういう関係だよ!
あんたの頭、おかしんじゃねえの?」

「おかしいのは莉緒よ
あんな子がモデルと付き合うなんて許せなぁい」

許すとか
許せないとか

あんたには関係ねえだろ

俺が莉緒がいいって言ったら、それでいいんだよ

お前の許可なんていらねえんだよ
< 68 / 114 >

この作品をシェア

pagetop