わがままモデル王子は甘い香り
「すみません」

「ちょっと来い!」

俺は義父さんに首根っこを掴まれた

怒ってる
莉緒の父親は俺に怒りをぶつけていた

確かに俺のせいだし、何を言われても仕方がない

義母さんとは離婚して、夫婦ではなくても、義父さんは莉緒の父親だ

莉緒を愛してる

莉緒を大切にしている

俺よりもずっと深い愛情があるんだ

俺も莉緒を愛しているけれど、それとは違う愛情を抱いている


病院の駐車場に出ると、俺はいきなり殴られた

頬に痛みが走り、地べたに尻もちをついた

「モデルだかなんだか知らないけどなあ
自分の過去を本で金にするような奴に、ロクな人間はいねえんだ」

たしかに
俺は過去を本にして金を得た

結婚資金にするとか言って……

ロクな人間じゃないか

あたってるよ

ロク人生じゃねえもん
俺の人生

莉緒と出会って変わったかと思ったけど
そう簡単にかわるはずもねえんだよ

俺はきっと莉緒を苦しめてる

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