loveratory〜恋する研究室〜

「おーい、始めるぞ。」

先生の声を聞き、みんなのお喋りが小さくなっていく。もちろん、私たちも。

「今日は、うちの研究室の院生に実験を手伝ってもらいます。」

先生がちょうど言い終わった頃、実験室のドアが開き、院生が入ってきた。
うわっ、野暮ったい……。テッカテカに脂ぎった顔に、曇ったメガネを載せている。白衣が黄ばんで見えるのは、私の気のせい?

「茂山です。」

先生に紹介され、シゲヤマが小さくお辞儀をする。

「あれは、ないわ。」

ポツリと呟く。何が?と浩実が首を傾げる。

「院生。あんなのに訊くくらいなら、自力でなんとかするって。」

「そぉ?」

優衣は、あまり、と言うか全然、見た目気にしない。でも、さすがにあれはイヤじゃない?

「あとから、もう一人、川崎ってのが来ます。じゃあ、実験手順の説明をします。」

先生は、淡々と説明を進める。

「実験中、わからないことがあったら、院生に聞いてください。」

院生かぁ。カワサキにかけるしかないな。シゲヤマは……ない。


.
< 5 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop