loveratory〜恋する研究室〜
「おーい、始めるぞ。」
先生の声を聞き、みんなのお喋りが小さくなっていく。もちろん、私たちも。
「今日は、うちの研究室の院生に実験を手伝ってもらいます。」
先生がちょうど言い終わった頃、実験室のドアが開き、院生が入ってきた。
うわっ、野暮ったい……。テッカテカに脂ぎった顔に、曇ったメガネを載せている。白衣が黄ばんで見えるのは、私の気のせい?
「茂山です。」
先生に紹介され、シゲヤマが小さくお辞儀をする。
「あれは、ないわ。」
ポツリと呟く。何が?と浩実が首を傾げる。
「院生。あんなのに訊くくらいなら、自力でなんとかするって。」
「そぉ?」
優衣は、あまり、と言うか全然、見た目気にしない。でも、さすがにあれはイヤじゃない?
「あとから、もう一人、川崎ってのが来ます。じゃあ、実験手順の説明をします。」
先生は、淡々と説明を進める。
「実験中、わからないことがあったら、院生に聞いてください。」
院生かぁ。カワサキにかけるしかないな。シゲヤマは……ない。
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