Mr.キューピッド
「雪路って実は良い人だったんだね。」
珍しく俺が褒めてあげると、雪路は少し照れたような笑みを俺に向けて浮かべる。
「あら、今更気付いたのかしら?」
「うん。今更。」
3年目にして初めて知った。
「ウフフ……ナナトちゃんだって良い人すぎて私の好みよ?」
「え、好みって?」
「勿論……『男』のよっ!」
「わわっ!?」
尋ね返して答えが返ってきた瞬間、雪路に俺の肩をおもいっきりガッチリと掴まれて、俺をそのままベッドへと押し倒された。
お、オカマに押し倒された……しかも押し倒されるとか初めての体験だよ!!
「ウフフフ……ナナトちゃんの女装姿って絶対似合ってそうよねぇ……」
「な、何か企んでる?」
「何かってぇ?決まっているでしょ!」
雪路は俺の寝かされているベッドに手を突っ込むと、そこから何故か入っていたナース服を取り出した。
「レッツ、女装!!」
「雪路ぃぃぃい!!」
そして、着ていた服を無理矢理剥がされるのだった。
良い人だと改めたばかりだというのに、
彼……というか彼女はやっぱり『迷惑な奴』なんだって思った。
「ただいま……」
「遅かったなぁ………って、どうしたんだ?服が伸びきってるぞ?」
「聞かないで………っ!」
もう絶対に医務室とか病院とか行くもんか!
そう心に誓った。