Mr.キューピッド
霊柩車に乗って火葬場に着いて、暫くするとバスが到着して、父さんと母さん、そして親族の人達が続々と降りてきた。
佑音の姿を探したけれどどこにもいなくて……だから両親に近付いてその話題が出るのを待っていたら、入院していることが判明。少しホッとした。
だけど俺が死んだことに凄く落ち込んでいるらしい。
「佑音……」
凄く心配だけど、佑音が入院している病院がどこか分からないから会いに行けないよ。
一目見たいけれど、今の俺は幽霊みたいなものだから……ってか幽霊だからお前と会っても佑音だけは俺が見えないんだろうな。
火葬場にいて自分の骨を見てるのも複雑だから、俺はどこか静かな場所へと移動することにした。
街中にはたくさんの人がいるのに、透明な俺は誰からもぶつかることなく、そして目も遇うことなく歩いていく。
死んだら足が無くなるって言うけれどそんなことはない。俺には普通にくっついていた。
……まぁ誰も死んだ人間なんて見たことないだろうし、足があって当たり前なのかもしれないけど。
(これからどうしようか?)
帰る家もないし、コミュニケーションを取れる人もいない……今の俺はひとりぼっち。
いっそのこと写真とかに写って有名にでもなろうか?いや、生きてる人達を脅かすのも楽しそう。
そんな意地悪なことを考えてばかりいたら、いつの間にか静かな公園に到着していた。
空を見上げれば星が瞬いていて……これじゃあ子供も家に帰ってるよね。
……独りで公園ってちょっと寂しいかも。