Sweet Kiss
「お前に拒否権なんかねーよ」
そして、間をあけて言い放った。
「教えてやるよ、何もかも」
そして、リビングへと向かっていった。
ソファに、テーブルをはさんで向かい合い、座る。
私にはアップルティーを、自分にはコーヒーを淹(い)れ、話し始めた。
「合格発表の前の日、お前のお母さんとこの学園の理事長が話をした」
あの日の、呼び出しのことか。
「お前のテストの結果は、かなり優秀で、B特待のランクだった。
でも、備考の欄に《金銭面が苦しい》って書いてあったから、理事長は、寮費くらいは払えるのか聞いたんだ」
寮費くらいって・・・かなり高いんですけど。
「そしたら、『払えない』ときた。
普通だったら入れないんだけど、可哀想に思ったお人好しな理事長は、お前のお母さんと取引をした」
取引をしている時点で、“お人好し”ではないと思うのは、私だけ・・・?
「それで、その取引って?」
だいたい見当はついてるけど・・・
「お前を俺の付き人にするかわり、A特待にするっていう取引」