題名のない怖い話
侑はいつもの笑顔で車の中から叫んだ。
「ママ!パパ!遅いよ~!」
一気に緊張の糸がほぐれた。
侑に何かあったら…という想いでいっぱいで…
そんな想いが今、すべてなくなり、
視界のぼやけがなくなる。
「侑!」
急いで車へと走る。
きっと、鍵が開いていたのだろう。
カチャ…
(!?)
カチャ…ガチャガチャ…
鍵が開いていない!
一瞬肌に鳥肌が立つ。
しばらく考えて思った。
あぁ‥・
きっと最初、鍵が開いていて…
侑が乗りこんでから
侑自ら閉めたのだろう。
私はホっとして、
淳平に言った。
「車の鍵もってる?」
「あぁ。ここに」
淳平は鍵をポケットから出すと、
「いってらっしゃい」と一言言って、
家の中へ入って行った。