ドラゴン・テイル【外伝】
「……で、まだここで待つのか?」
建物の階段を登り、三つある内の一番奥の扉の前で立ち尽くすこと二時間。
ヴァルザックは、何度目かの同じ質問をラーマに向かって口にした。
「……ぬぅ……」
低い唸り声がラーマの口から漏れる。
レナはどこに行ったのだ?
眉間に皺を寄せるような表情で、通路の塀越しから街の中心部の方へ視線を向けるラーマ。
「仕方ない……我々だけで捜すか……」
レナの帰宅待ちを断念したラーマは、そう呟くと建物を後にした。
その後をヴァルザックが追う。
「あ、そういえば、あいつグレイクレイに着いたら服を買うって言ってたな」
ヴァルザックが思い出したように言った言葉に、ラーマが頷く。
「服屋か……。急ごう」
歩調を早め、街の中心部へと向かう。
様々な店が立ち並ぶ中、街の中央通り沿いにある一軒の店に入ろうと扉に手を延ばした瞬間、その扉が奥へと下がり中から出てきた女性とラーマが見事にぶつかった。
「いっったぁ……。
ご、ごめんなさいッ! 大丈……って、ラーマさん?」
聞き覚えのある声が耳に届く。
「レナ、ここにい……」
ここにいたのか?
そう言い掛けて、ラーマは言葉を飲み込んだ。レナの後ろにいる人物から目が離せないまま。
「よ、ウル」
ヴァルザックがラーマの代わりに、その人物、ウルに声をかけた。
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