ドラゴン・テイル【外伝】

 ヴァルザックと再会することで、ウルの表情が少し軽くなった気がする。
 それだけ緊張していたのだと言うことを思い知らされたようで、レナの心がチクンと少し痛んだ。

「そうか……では、すぐにその記憶の泉へ行くのか?」

 事のあらましを聞いたラーマは、第一声で誰にともなく尋ねた。

 それに答えたのは、キスティン。

「早い方が良いと思うわ。ラーマが戻ってきてくれて良かった。しかも、ドラゴンを連れて!
 怖いもの無しね」

 僅かに安堵の表情を浮かべつつ、ヴァルザックに片手を差し出した。

「よろしくね、ヴァル」

「あぁ、よろしく」

 力の加減に気を付けながら、キスティンの手を優しく握り返す。

「…って、キスティンとレナも行くのか?
 大丈夫か? 危険なんだろ?」

 ウルは仕方ないにしろ、二人には選択の余地がある。
 確認するように問いかけたヴァルザックに、キスティンとレナは笑顔を向けた。

「もちろん行くわ」

「私たち、これでも精霊師なんです。足手まといにはなりません」

 二人の言葉に驚いた表情を向けたヴァルザックは、すぐに笑顔を作り頷いた。

「精霊師か、珍しいな。
 でも、それなら少し安心だ」

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