ドラゴン・テイル【外伝】

「広い空洞があるぞ」

 ヴァルザックの言葉を確かめるように、少し歩調を早めて進んだ先には、その言葉通りドーム型に広く空間が開いていた。

 ラーマとヴァルザックが、安全確認の為に空洞の中をグルッと一周する。

「道が三つか……」

 戻ってきたラーマがポツリと呟く。

「どれに進むか迷うな……」

 同じようにヴァルザックも呟く。

 今までの分かれ道は、ヴァルザックに任せてきた。
 その全てが二手に分かれたもの。

 ここに来て三つの分かれ道があると言うことは、下手をすると元の道に戻ってしまう可能性が出てきたと言うこと。

「一つ一つ確かめるしかなさそうだな。
 面倒だが、致し方ない」

 再び小さく呟いたラーマに、げんなりとした表情を見せるヴァルザック。

「しゃーないか。後で迷うのも嫌だしな」

 ため息混じりに呟き、横穴の一つに入って行く。

 それを見届けてから、ラーマはウル達に視線を向け、

「お前達はそこで休んでいろ。
 ここは安全のようだし…。何かあったら叫ぶがいい」

 そう言い残すと、空間に小さな光を一つ残して、ヴァルザックが入って行った所とは違う別の横穴へと消えていった。

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