ドラゴン・テイル【外伝】

 モンスターを撃退した後、ウル達はすぐにその場を立ち去り、先へと進む。

 あの場に留まっていると、体液の異臭に誘われて他のモンスター達が来る可能性があったからだ。

 無言で通路を進んでいく内に、前方から僅かな淡い光が見えてきたことに気付いた先頭のラーマが、足を止める。

「……あれは……何の光だ…?」

 すっかり疲れ切ったウル達が、ラーマの呟きに虚ろむ瞳を上げ、前方に視線を飛ばす。

「…外…? …の光とは少し違うな…。
 光が揺れていない所を見ると、火系統の魔法でもなさそうだ」

 誰に言うでもなく、一番後ろにいるヴァルザックが小さく呟く。

 ここにいろ、と言い残し、ラーマが一人様子を見に行った。

 ラーマの持つ光が遠のいて行くのを後方から見送り、ヴァルザック以外の全員がその場に座り込む。

「おいおい、大丈夫か? お前達……」

 全く疲労の色を見せないヴァルザックが心配そうに声をかけた。

 ─……ラーマといい、ヴァルといい…、ドラゴンの体力に底ってあるのか……?

 声に出す元気も無く、全員が同じようなことを心の中で呟く。

 そんな彼らの耳に、ラーマの声が反響して届いた。

「光苔のようだ。ここはまた空洞になっている。こっちで休むがいい」

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