ドラゴン・テイル【外伝】

 極度の緊張の中、震える足をゆっくりと進め、レナは無事にウルとラーマの待つ対岸へと渡り切った。

 はぅぅぅ………。

 再び、全員が漏らした安堵のため息が空間を満たす。

「よく頑張ったな」

 ウルの隣に座り込むレナの頭を、ラーマが優しく撫でた。

「は、はい、有り難う御座います…ッ!」

 ラーマに、少し照れたような、安心した笑顔を向けるレナ。

 そのレナに微笑みを返し、ラーマは再び対岸へと視線を戻した。

「次は誰だ?
 レナが渡ったんだ。クレイグ、来い」

 ラーマの言葉に、対岸から「マジで?」とクレイグの声が返ってくる。

「よし行けッ! 大丈夫だ、真っ直ぐ歩けばいいだけだぞ?」

 後押しするヴァルザックの言葉に、クレイグは少し沈黙した後、頷いた。

「……よし、んじゃ行くかッ!」

 丸太に乗り、両腕を広げてゆっくりと渡り始めるクレイグ。

 丁度、中央付近に差し掛かった頃、それは突然聞こえてきた。

 ゲギャァーッ!

 ギョッギギギャッ!

 ヴァルザック達の方の通路から響いてきたそれに、思わずクレイグが振り返り…、

「バカッ! 気を散らすなッ!」

 ヴァルザックの言葉にハッとした瞬間、クレイグは丸太を踏み外し、体が宙を舞った。

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