ドラゴン・テイル【外伝】
「クレイグッ!!」
ヴァルザックが、クレイグを追うように崖から飛び降りる。
落下していく光の中、ヴァルザックの体がドラゴンへと変化していった。
空中でクレイグを受け止めたものの、狭い空間に阻まれて翼を広げることが出来ないヴァルザックは、その巨体を利用して壁の両端に体を強く押しつけ、落下速度を緩めようとした。
グザザガガガガガガガッッ
激しく響き渡る巨大な音。
その音が、落下の速度を物語る。
「クレイグッ! ヴァルーッ!」
キスティンの悲鳴に近い声が響いたのとほぼ同時に。
ズドオォォォォォ………ォゥゥン……ッ
鈍い地響きと共にヴァルザックの灯していた光が消え、再びその場所は闇に支配された。
「……うそ……。
ヴァルさんッ! クレイグさーんッ!」
レナの声が木霊するが、その声も、無音の闇に吸い込まれるだけで返事は無い。
全員が呆然とした表情で闇を見つめた。
だが、光が再び灯ることはなく…。
ギャッギャッ!
グギョッ!
確実に近づいてくるそれにラーマは顔を上げた。
「キスティン、渡るんだ!
早く来いッ!」
闇から視線を外し、後ろを振り返っていたキスティンは、座り込んだままラーマに視線を移す。
ラーマの掲げる小さな光が、対岸で立ち上がろうとするキスティンをうっすらと照らした。
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