ドラゴン・テイル【外伝】
『そうだ。あんたは……?』
戸惑いながら答えるヴァルザックに、シルバードラゴンが答える。
『我が名はラーマ。
貴殿の名を伺っても……?』
問われて、慌てて名乗り返した。
『俺はヴァルザック。俺を呼び出したのはあんたか、何の用だ?』
ヴァルザックの問いに、シルバードラゴン─ラーマが言った。
『実は、ある人間を捜している。北の地にいると思われるのだが……』
人間を捜す? ドラゴンが?
小さく首を傾げるヴァルザックに、ラーマは続けて口を開く。
『この北の大地で、つい最近ブラックドラゴンが復活した』
突然突拍子の無い台詞を吐くラーマを見つめたまま言葉を失うヴァルザック。
『ブラックドラゴンだ?! ブラックドラゴンっつったら、アレだろ? 六千年戦争の……。どこにいるんだ?!』
ヴァルザックの問いに、ラーマは首を振った。
『もう居ない。人間の手によって、完全に命を断たれた』
『人間に?!』
六千年戦争でも、ブラックドラゴンは人間に討たれた。
だが、あの頃は激動の時代で魔力や力の強い人間が多かったからだ。それに加え、一部のドラゴンや、精霊達の加護を受けてようやく倒したのだ。
この平和な時代で、そんな事が出来る人間が居るとは信じられない。
だがラーマの目は真剣そのものだった。
.