ドラゴン・テイル【外伝】

 空が白みを帯び、長い夜の終わりを告げ始める。
 ウル、レナ、ラーマ、ヴァルザックの四人はレナの家に行き、一睡もすることなく朝を迎えた。

 クレイグとキスティンの二人は、疲れているだろうからとラーマが気を利かせて、家に帰した。

 着々と明るくなって行く空に併せるように、人の声が響き始める。

 何を言えば良いのか、どうしたら良いのか、気持ちの整理が全く付かない中、座り込んでいたレナがゆっくりと立ち上がり、口を開いた。

「……お腹、空いてますよね……?
 今、お食事作ります」

 その言葉に、ヴァルザックがパッと顔をあげる。

「あ、俺が作るよ。疲れてるだろ?
 ウルも、お前ら少し寝とけよ」

 そう言うと、レナの隣をすり抜けてキッチンの方へ歩いていった。

「ヴァルの言う通りだ。人間は我らと違い体力が無いからな」

 ラーマも、ヴァルザックの後を追うようにキッチンへと消える。

 残されたレナのウルの間に再び沈黙が落ちた。

「………二人の言う通りだな………。
 レナ、ゆっくり休め。疲れただろう?」

 沈黙を破り、静かにそう言うウルに視線を向ける。

 ─…私が眠っている間に……、出て行っちゃうのかな……。

 一抹の不安から、レナは口を開いた。

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