ドラゴン・テイル【外伝】

「起きたら……。
 一緒にザイルまで行きましょう……?」

 レナの言葉に、一瞬驚いた表情を浮かべるウル。

 出来ることならば、最後までウルの傍にいたい。
 いつの間にか居なくなるなど、レナには耐えられない。

 ─……一緒に行きましょう……─

 この言葉に、レナは想いを託した。

 ウルの表情が、驚きから優しい笑顔へと変わる。

「ありがとう、レナ。本当は一人で行くことに戸惑っていたんだ。
 レナが一緒なら心強いよ」

 張りつめていたレナの緊張が、一気に解ける。

「良かった……。
 あ、ベッド、使って下さい」

 ベッドを勧めるレナに、ウルは苦笑しながら首を振った。

「さすがに女性を床で寝かせるわけにはいかないだろ。俺は今まで野宿とか多かったし、屋根があるだけで十分だよ。
 お休み、レナ」

 そう言うと、壁にもたれるように座り、目を閉じるウル。

 それを見て、レナは小さく「ごめんなさい」と呟くと、ベッドに潜り込んだ。

「…お休みなさい…ウルさん」

 よほど疲れていたのか、体を横にして目を閉じた瞬間から、宙に浮いたような、フワフワした感覚がレナを包む。

 その感覚に抵抗するでも、怯えるでもなく身を任せ、夢の世界へと落ちていった。

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