ドラゴン・テイル【外伝】
食事が終わり、グレイクレイを発つ頃にはもう陽が傾き始め、空の色が赤く染まりかけていた。
グレイクレイの街門の所でキスティンとクレイグに見送られてから、もう一時間は歩いただろうか。
「朝から寝ちゃったおかげで、夜は眠れそうにないですね、きっと」
少し前方を歩くレナが、ウルを振り返りながら言う。
「そうだな」
レナに笑みを返しながら答えるウル。
それを見ていたヴァルザックが、ウルの隣からレナに問いかけた。
「なぁ、レナってさぁ、姉さんか妹さんがいたりする?」
突然の問いかけに目を丸くするレナ。
質問の意味を察したウルが、付け足すように後を次ぐ。
「ラウラって名前に聞き覚え無いか?」
レナは少し考えるような表情で沈黙し、すぐに口を開いた。
「ラウラ…さんですか……。うーん……。特に記憶にはありませんが、その方がどうかなさったのですか?」
不思議そうな顔で問い返すレナの言葉に嘘はない。
「いや、知らねーならいいんだ」
ヴァルザックが笑顔を向ける。
「グレイクレイに着く前まで一緒に居たんだが、何となくレナに似ててな。
姉妹かと思ったんだ」
ウルの言葉に、レナの表情が固まる。
それに気付いたラーマが、小首を傾げるようにレナに声をかけた。
「どうした? レナ…?」
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