ドラゴン・テイル【外伝】
無言で丘を登る三人の視界に、すっかり濃い群青色に染まった空が広がり始める。
星が瞬き、今まで当たり前のように感じていた空気さえ変わったような気がした。
懐かしい風が吹き抜けていく。
自然と鼓動が高鳴る。
先を歩くラーマの足が止まり、ゆっくりとウルを振り返った。
─そこが、頂上……。
そう気付くと同時に、数歩手前で足が止まる。
ウルの後ろから、ヴァルザックがポンッと肩を叩いた。
“行ってこい”
そう言うような視線を受け、ウルは深く息を吸い込むと、再び足を進める。
頂上に立った瞬間、強い風が一つ吹いた気がした。
まるで、身を、心を、突き抜けるような優しく強い風。
そこに広がる景色に、ウルは息が詰まる感覚を覚えた。
星が瞬き始めた空に浮かぶ小さな雲が、ゆっくりと流れていく。
脳裏に、たくさんの映像が勢いよく溢れ出していく。
─あぁ……そうだ……。
フラフラと、何かに取り憑かれたように数歩歩き、短く生い茂る雑草の上に座り込むウル。
眼下に広がる町に、点々と光が灯り始めていく。
ウルの脳裏を巡る映像が、ウルの目に鮮明に写っていた。
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