ドラゴン・テイル【外伝】
そっと髪を撫でる。柔らかく、心地良い感触が手を伝った。
一瞬、リムレットの瞼がピクッと動き、次いでゆっくりと開いていく。
目の前の人影に驚き、声にならない悲鳴のような息を吐いてサッとウルから身を離すリムレット。
暗い部屋で、目を凝らすようにウルを見つめたまま、微動だにしない。
ウルは小さく呪文を唱えると、先ほどまでリムレットが眠っていた枕元にある燭台に淡い光を灯す。
優しい光に照らし出されたウルの姿が、リムレットの瞳に映った。
大きく開いたその瞳から、止め処なく、涙が溢れ始める。
「……る…ッ! ウ…ル……ッ?」
小さな小さなリムレットの声は、震えていた。
「わ…わた…ッ…私……ッ」
震えながらウルの方へ伸びるリムレットの手を、優しく握る。
「待ッ…てた……。
あ……会いたか……ック…ふぇ……ッ」
止まらない涙が言葉を詰まらせる。
そんなリムレットの頭を、ウルはゆっくりと撫で下ろした。
「ただいま、リムレット」
たまらずウルに抱きつき、声を上げて泣くリムレットを優しく抱き返すウル。
「───お帰りなさい…ッ! ウルッ!」
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