ドラゴン・テイル【外伝】
─お、そうだッ!
ふと思いつき、ヴァルザックは大きく体を傾けながら旋回すると、先ほど追い抜いた二人の人間の元へ戻っていった。
引き返してきたドラゴンを見て、二人に緊張が走る。
ズゥゥ………ン……ッ
地面に低い振動を響かせ、巨大な蒼いドラゴンが降り立つ。
ピクシーはおびえた様子で二人の人間の後ろに隠れた。
ヴァルザックが人間に目を向ける。
見て気づいたが、人間だと思っていた二人の内の一人は人間ではなかった。
『エルフか。ピクシーもそうだが、こんな所で会うとは実に珍しいな』
思わず口にした言葉に、エルフが弓を構えた。
「こんな所をドラゴンが低空飛行なんて珍しいわ。
……何の用?」
グッと矢を引くエルフ。
『そんなに警戒すんなよ。人間一人探してんだ。鳶色の髪の人間の男。知らねぇ?』
一瞬、エルフと人間が目を見開く。
「……ウルの事……か?」
おそるおそるといった感じで人間の方が口を開いた。
─何だ、ウルって奴はそんなに名の知れた人間なのか?
首を傾げ、ヴァルザックは言った。
『いや、名前知らねーんだ。……じゃ、そのウルって奴はどこにいる?』
問いに、お互い目を見合わせるエルフと人間。
二人が答える前に、足下のピクシーが口を開いた。
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