ドラゴン・テイル【外伝】

 ─そうだ、思い出したッ! あの変な人が捜してた人!

 ラウラはハッと男の肩に手をおいた。

「ちょっとッ! アンタ大丈夫?!」

 強く揺すられて、男がゆっくりと目を開く。

 ─良かった、死んでると思ってたけど、生きてたのね。

 顔を上げる男の目を見る。
 男は、掠れた声で呟いた。

「………頭…痛い……」

 ─頭が痛い…?!

 男の言葉に一瞬思考が付いていけなかった。頭が痛いって……何?

 次いで、男の額に手を当てる。

 ─熱がある……ッ!

 頭が痛いと言う言葉の意味がようやく理解出来た瞬間。

「ここにいてッ!」

 そう言い残すと、ラウラは軽い身のこなしで近くの雑草を飛び越えて、森の奥へと消えていった。

 そんなラウラの背を見送る気力もなく、男はピクリとも動かないまま木の幹に身を傾け、荒く息をついている。

 ほどなく、手に薬草を持って戻ってきたラウラは、全く動かずにその場で座り込んでいる男の元に行くと、着ていた上着を一枚脱いで地面に敷き、そこに男を横たわらせた。

 厚みのある葉を横にスライスするように裂き、切り口を男の額につける。

「冷たい? 解熱効果のある薬草なの。
 雨に長時間打たれたせいで、風邪を引いたのね…。ひどい熱だけど、しばらく安静にすれば治るわ」

 そう言いながらもう一枚裂き、首の両横に貼りつけた。

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