ドラゴン・テイル【外伝】
「…り、が……とう…」
熱で喉をやられたのか、ガラガラに掠れた声で、男がラウラを見ながら言う。
熱で目が潤み、荒く息をする男の顔に目を向け、ドキンッと一つ鼓動が高鳴った。
─…そ、そんな目で人を見るんじゃありません……ッ!
平静を装いつつも確実に早くなっている自分の鼓動に気づきながら、ラウラはパッ目を逸らした。
「…べ…別に。あんたを探してる人がいたから…ッ!
たまたまよ、タ・マ・タ・マッ!」
平静を装うつもりが、何故か喧嘩口調になってしまう。
─バカか私は……ッ!
あまりにもあからさまな自分の行動に、ラウラは心の中で叱咤した。
これではただの八つ当たりだ。
気を取り直して、男に視線を戻す。驚いた表情の男に、ラウラが口を開いた。
「少し落ち着いたら、村の医者の所に連れてってあげるからね」
だが、男は首を振った。
「…俺を…探してる奴が…いたのか…?」
途切れ途切れで息を付きながら、男がラウラに問う。
少し思い出すように記憶を辿りながら頷くラウラ。
「変な……じゃない……変わった人だったわよ。青くてツンツンはねた髪で、背の高い男の人……知り合い?」
男の脳裏に一番に浮かんだのは、ヴァルザックの顔。
あいつは人間の姿の時、確かに青い髪をしていた。
─ヴァルザックが俺を探している?
一体、何の用だろうか…?
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