ドラゴン・テイル【外伝】
「ヴァルザック!」
ウルの声に、蒼いドラゴンがキョロキョロと首を動かす。
「ここだ」
大きく手を振るウルに気付いたドラゴンは、僅かに目を細めると頭を低く屈めてウルに近づけた。
『おぉ、探したぞ。こんな所にいたのか。
もっと先に行ったんだと思って、明日また飛ぶつもりだった』
やはり、ヴァルザックだ。
内心でホッと胸を撫で下ろしながら、ウルはヴァルザックに言った。
「話は後だ。実は今一人じゃなくてな…。
人型になれないか?」
ウルの言葉に、ヴァルザックは二、三度瞬(まばた)きをして、人の姿へと変化していった。
蒼い髪に、紫の瞳。
完全に人の姿になったヴァルザックは、ふぅ…と息を付き、ウルに視線を向けた。
「これで良いか?」
「あぁ、バッチリだ」
答えて、ウルは話を切り出す。
「俺の名前が分かったんだ」
ヴァルザックの目が大きく見開く。
「思い出したのかッ?!」
まるで、自分の事のように驚いて声を大きくしてくれるヴァルザックに嬉しさの念を抱きながらも、ウルは頭を横に振った。
「いや、それは相変わらず全然…。俺の名前を知ってる人物に会っただけだ」
「ひょっとして、レインとか言う奴?
それとも、セルフィリオーナ?」
眉を寄せるウルの表情に「違うのか?」という顔をするヴァルザック。
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