ドラゴン・テイル【外伝】
「俺が会ったのは、医者だ。昔、俺がその医者に知り合いの治療を頼んで看てもらったらしいんだが……」
途中で言葉を詰まらせるウルの心境を察して、ヴァルザックも口を閉じる。
─その知り合いも思い出せないんだな。
心の中でそう呟いたヴァルザックは、しばしの沈黙後、ウルに言った。
「俺が会ったのは三人組でな。人間がレイン。エルフがセルフィリオーナ。で、ピクシーのチビがコパンって言ってた」
名前を聞いて、思い出そうと俯くが、やはり思い出せないのか弱々しく首を振る。
─ダメか……。
ヴァルザックも、顔を上げないウルを見て表情が曇る。
再び落ちた沈黙を破ったのは、ウルの身を案じて追いかけてきたラウラだった。
「あれ? あんたあの時家に来た……。
ここにドラゴンが居なかった?!」
キョロキョロと辺りを見渡しながら近寄るラウラを見て、ヴァルザックが「一緒にいる人間って、あいつ?」と聞くようにウルに視線を送る。
ウルは小さく頷くと、ラウラの元へ歩み寄った。
「ラウラ、待ってろと言ったのに……」
困った顔で言うウルに、小さく舌を出すラウラ。
「ごめん、やっぱり心配でさ……。
ところで、会えたのね。探し人」
ラウラがヴァルザックに近寄りながら、ウルに言う。
ヴァルザックの前に立つと、ヴァルザックに向かって笑顔を作った。
.