ドラゴン・テイル【外伝】
ザァーーー………──
雨足は、思った以上に激しかった。
それでも、大きく高く生えた木々がその雨のほとんどを遮ってくれる。
時折、葉から大きな滴が落ちてくるが、この雨にひたすら打たれるよりはマシだ。
木々の枝や葉で見事にトンネルのような状態になっている街道を進むと、道の横に大きな岩が一つ。
「よし、その岩に座って待ってろ」
岩の近くにラウラとウルを誘導すると、ヴァルザックは街道から外れ、暗い森の中へと入っていった。
ザァァァ………──
相変わらず、雨足は強い。
「………馬、いなくなっちゃったね…」
俯いて、小さく呟くラウラに目を向け、ウルが口を開いた。
「ここから一番近い町…どこがあるか分かるか? ラウラ」
問われ、現在地を思い出しながらゆっくりと答える。
「そうね…国境にある山を大きく西に迂回しながら進んだから……もうしばらく…って言っても、馬が無いから二、三日は歩くけど、ひたすら南下すればオルモーズの街に着くはずね…。
ホズの南西にある機械都市よ」
「機械都市?」
聞き慣れない言葉に思わず聞き返す。
ラウラは、ウルに向かって小さく頷くと手短に説明した。
「そう。機械都市。
グランドール王国が出来た時、当時の国王が「未知の敵」に対抗する為の戦力として研究させたのが、機械だって……結構前に誰からか聞いた事があるわ」
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