ドラゴン・テイル【外伝】

 ─未知の敵…? モンスターの事だろうか……。いや、それなら剣や魔法だけでも何とかなるはずだ。

 それだけではどうにもならない敵が、その当時には居たのだろうか。

 ウルが小さく頭を傾げた時、森の奥からヴァルザックが戻って来た。

 大きな葉を器用に曲げ、器の形にして、その中に雨水を溜めて持ってきてくれたのだろう。

「ほら、喉乾いたろ? 飲め」

 水の入った葉っぱの器をラウラに渡す。

「ありがとーッ! 喉カラカラだったの!
 気が利くわねー」

 コクコクと喉を鳴らしながら飲む。

「あぁ…そうか。荷物は全部馬に乗せてたんだったな……」

 思い出したように呟いたウルの言葉に、ラウラが突然「あぁぁぁぁぁッ!」と大声を上げた。

「お金も全部馬に乗せてたんだった!」

 頭を抱えて蹲(うずくま)るラウラと対照的に「あ、そうだった」と、ポンッと手を打ち、服のポケットをゴソゴソの探し始めるヴァルザック。

 捜し当てたポケットから、小さな袋を取り出すと、ウルに渡した。

「すっかり忘れてたぜ。俺、それをお前に届けようと思って探してたんだった」

 ウルの手の中に、ジャラッという音と、ズシッとした重みが伝わる。

「それ、忘れていっただろ?
 困ると思ってさー、焦って追いかけたんだぞ」

 ウルは「そうだったのか」と呟きつつ、受け取った袋の中身を覗いた。

.
< 46 / 160 >

この作品をシェア

pagetop