ドラゴン・テイル【外伝】
─未知の敵…? モンスターの事だろうか……。いや、それなら剣や魔法だけでも何とかなるはずだ。
それだけではどうにもならない敵が、その当時には居たのだろうか。
ウルが小さく頭を傾げた時、森の奥からヴァルザックが戻って来た。
大きな葉を器用に曲げ、器の形にして、その中に雨水を溜めて持ってきてくれたのだろう。
「ほら、喉乾いたろ? 飲め」
水の入った葉っぱの器をラウラに渡す。
「ありがとーッ! 喉カラカラだったの!
気が利くわねー」
コクコクと喉を鳴らしながら飲む。
「あぁ…そうか。荷物は全部馬に乗せてたんだったな……」
思い出したように呟いたウルの言葉に、ラウラが突然「あぁぁぁぁぁッ!」と大声を上げた。
「お金も全部馬に乗せてたんだった!」
頭を抱えて蹲(うずくま)るラウラと対照的に「あ、そうだった」と、ポンッと手を打ち、服のポケットをゴソゴソの探し始めるヴァルザック。
捜し当てたポケットから、小さな袋を取り出すと、ウルに渡した。
「すっかり忘れてたぜ。俺、それをお前に届けようと思って探してたんだった」
ウルの手の中に、ジャラッという音と、ズシッとした重みが伝わる。
「それ、忘れていっただろ?
困ると思ってさー、焦って追いかけたんだぞ」
ウルは「そうだったのか」と呟きつつ、受け取った袋の中身を覗いた。
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