ドラゴン・テイル【外伝】
ゴゴグ…
ゴフ…ゴフ…ッゴウゴグフ…
ゴブゴ…ッゴォゴグゴフ…グゴガ…ッ
森の至る所から、雨音に混じって響き始めた。
ラウラとウルの表情が固まる。
森の中からオークの大群が続々と街道に姿を現す。
「…う…そ……。
どうしよう……、私、もう矢が……」
青ざめた顔で呆然と呟くラウラの声は、掠れている。
「囲まれたな」
街道の前方と後方から出てくるオークの数は、ざっと見ても先ほどの数倍。
強行突破は極めて難しい。
ゴグァァァァッ!
一匹のオークが、ウル達に威嚇の声を張り上げた。
グガァァァァァッ!
ゴァァァッ!
他のオーク達も次々とそれに続き、森が震える程の大音響になる。
一瞬、ラウラがビクッと身を震わせた。
「……どうする…?」
オーク達を睨むヴァルザックに、ウルが小声で問う。
ヴァルザックは、深く息を吐きながら、ウルに視線を移した。
その目は、どこか意を決したような…。
「…お前……まさか…」
ヴァルザックの考えている事を察したウルが、驚いた表情を浮かべる。
「何? 何なの?!
何か良い案でもあるのッ?!」
オーク達から目を離さず、ラウラが声だけをウル達に向けた。
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