ドラゴン・テイル【外伝】

 キャンプ場へは、すぐに到着。その頃には、空気の淀(よど)みも消え、澄んだ風が吹き抜けていた。

 まだ陽も高く、夕方と言うには少し早い時間帯。こんな時間に人がいるだろうか? と疑問に思いつつも、ラウラは小さな柵で囲まれた敷居の中へ入っていく。
 良く見ると、柵には何やら呪符の様な物が張り巡らされている。恐らく、これがモンスター除けになっているのだろう。

 ─ヴァルが「行けば分かる」って言ったのはこのことだったのね。

 一人納得した様に頷き、ラウラは先へと進んだ。

 ウルの血はもう止まっている。それでもこのキャンプ場に立ち寄ったのは、いざという時の為の消毒液と清潔な布と包帯、そして食料の確保の為。

 気前よく譲ってくれるかしら……。
 タダで、とは言わないけど、商人相手だし、逆にボッタクられたりしないかなぁ。

 小さな不安を抱えながら、ウルとヴァルザックを残して歩を進めるラウラ。



 ウルとヴァルザックは、キャンプ場から少し離れた場所でラウラを待ちながら、今後の行動について話していた。

『ウルは、グレイクレイへ行くのか?
 俺が会った三人組は、ザイルに行くよう伝えてくれと言っていたが』

 気持ちよさそうに体で風を受けながら、ヴァルザックがウルに視線を向ける。

 ウルは、頷きながら遠くを眺めるように目を細めて答えた。

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