ドラゴン・テイル【外伝】





 ヴァルザックがラウラを探しに行ってから、更に一時間が経過しようとしている。

 ─いくらなんでも遅すぎる……。

 何かのトラブルがあってラウラが戻れないならまだしも、ドラゴンのヴァルザックまで戻ってこないのはどう考えてもおかしい。

 もしかしたら、ラウラの身に何かがあって、何らかの理由でヴァルザックも身動きが取れなくなっているのだろうか……。

 もう少し待つべきなのか…?
 それとも探しに……──。


 ガザザッッ


 不意に近くの茂みが鳴り、弾かれたように振り返るウル。

 そこには、丸々と太っているようにしか見えない小さな鳥。

 真っ白く、短いが見るからに柔らかそうな毛並みを持つ鳥は、真っ赤な目をキョロキョロと動かし、短い足を一生懸命動かしトテトテとウルの前を横切っていく。

 ─何かの鳥のヒナか……?

 つまみ上げようと手を伸ばした瞬間、ウルの耳に鋭い声が飛び込んできた。

「ウルッ! 触るなッ!!」

 思わずビクッと手を引く。

 声の聞こえた方に視線を向けると、そこに居たのはヴァルザック。

「ヴァル! 何してたんだ!」

 思わず声を荒げるウルに答えず足早に歩み寄ると、ウルの隣を歩いている鳥を思いっきり蹴り飛ばした。

 ─グギャウッッ

 耳に残りそうな悲鳴を上げ、地面に落ちた鳥が動かなくなる。

「おい! 何してんだよッ!」

 力任せにヴァルザックの肩を引くウル。

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