ドラゴン・テイル【外伝】
「俺も、一緒に行けばよかった……」
一緒に行ったからと言って、ラウラを助けられる保証は何一つないけれど。
「俺が、こんな傷さえ負わなければ……」
後悔は後を絶たない。
止まらない涙だけが、ウルの心に影を落として広がっていく。
ガザ……ガササササ……。
近くで、茂みが鳴った。
一箇所ではない、複数の場所で。
力なく首を動かし、音のした方へ顔を向けるウル。
目に映ったのは、揺れる茂みの合間から覗く赤い光と、白い体。
「……フェニー…バード……」
その数は十数匹。
茂みに隠れている数を含めると二十匹はいるかもしれない。
どこを見ているのか分からない赤い目をクルクルと動かしながら、茂みから一匹だけピョコンと出てきた。
トテトテと歩くその姿は、とても愛くるしい物だったが、それを見たウルの頭の中で何かが弾ける感覚が伝わった。
………こいつらが、結果ラウラを死に追いやったんだ……。
まるで、何かに取り憑かれたように、ゆらっとその場に立ち上がるウル。
「………お前ら……」
無意識に、ウルの口から声が漏れた。
握りしめた拳(こぶし)が熱くなる。
「……許さんぞ…」
呟いた刹那、ウルの影が揺れ、足下から螺旋に回るように駆け上った。
その影に合わせ両腕を高く掲げるウル。
手のひらでぶつかり合う影は、瞬時にその姿を黒い炎へと変えた。
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